格差も水も低きに流れる(1月21日付朝刊1面「トランプ大統領就任へ」に思う)

高関税も移民排斥も、モノやヒトの移動を妨げようとする施策だが、自然の摂理に逆らうもので、決して長続きしない。国と国の経済格差、モノの価格差がある限り、モノもヒトも格差解消に向けて流れる。流れを一時的に押し留めたとしても、格差が根本的に解消しない限り、穴を見つけて流れは続く。
トランプ大統領の政策は、米国内の格差解消には手を付けず、米国を他国から隔離することで、米国と他国の格差を固定し、国内の低所得者層に生活が改善したかのような夢を見させようという作戦だ。しかし、米国は元祖移民国家。米国経済の成長の原動力のひとつは、流入する移民の労働力と、経済力を付けた移民の購買力と言われている。その流入を止めることで、果たして低所得者の生活は上向くのか?移民と低所得者の仕事が競合する部分があれば、失業が減るかもしれないが、米国民がやらない仕事を移民が担っていたのなら、担い手を失い混乱とインフレにつながるリスクがある。

米国は、国土も広く資源も豊富で、孤立主義の政治・経済運営をしやすい条件がそろっているが、自らが主導したグローバル化によって、世界の政治・経済は分かちがたく結びついている。そのなかで、自分だけ良くなろうという行き方が、果たして成功するものかどうか、お手並み拝見。くれぐれも失敗した時のツケ回しだけは、止めてもらいたいし、日本はそれを被らない立ち回りが求められる。

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