この見出しはミスリードする(3月3日付朝刊2面「改憲賛成 最多の68%」に思う)
冒頭の「改憲賛成が最多の68%」に続いて「護憲派は3割切る」「中ロが脅威 9割近く」と見出しが並ぶと、多くの人が憲法9条を変えるべきと考える人が多いと読んでしまう。だが、そうではないらしい。この調査は一面掲載のSNSに対する見方など、かなり広くて浅い内容で、記事をよく読んでも、憲法のどこを変えるべきかの質問はしていないようだ。全く別々に行った中ロの脅威に関する見方への回答と、改憲の是非への回答を、関連付けるような報道の仕方は、極めてミスリーディングであり、まともなメディアがやるべきことではない。
しかも記事の中では、自民党が憲法に自衛隊を明記することなどを求めていることや、維新・国民民主党が改憲議論に前向きなどという事実も紹介しており、今回の世論調査はこれらの事実を踏まえたものと勘違いをする読者もいるのではと心配だ。
そもそも改憲への世論調査の賛否は、新聞社によって相当違いがある。これは前後の脈絡や、設問の内容によるものと理解しているが、そうであれば、結果の取り扱いも事実や設問を踏まえた客観的なものとすべきだ。
特に、日本人には世論の大勢に流されるという悪い癖がある。世の中の多くの人々が、外国の脅威に対抗するため改憲を求めているという記事を、メディアが軽々しく流すことの悪影響は計り知れない。日経新聞は自らの影響力を考え、客観的な報道に徹してもらいたい。

この記事へのコメント