国に事業の目利き能力はない(3月12日付朝刊5面「ラピダス量産、国費が先行」に思う)

新規事業の立ち上げは本当に難しい。事業分野や内容の選択に加え、実行力、資金調達力など総合的な力が求められる。まず、一番大事なのは目利きで、魚のいないところに釣糸を垂れても魚は釣れない。失敗しても倒産もなく、担当者へのペナルティも怪しい政府機関にこの高度な仕事がやりきれるとは到底思えない。
それなのに政府は、半導体やAI産業への支援にここ数年だけで10兆円以上を投入する。まだ生産も受注もしていない半導体会社ラピダス1社に1兆円。問題はカネ余りの民間大手企業が全くこれについて来ないこと。ラピダスへの出資はまだ100億円にも満たない。そこに政府が1兆円もカネを入れる異常。さすがにまずいと思ったのか、新年度予算の1000億円は、民間も同額増資する前提で出資形体で投入するという。しかし量産にはまだ4兆円の資金が必要で、その調達メドはまったく見えない。

これだけ手元資金を溜め込んでいる民間のカネが寄って来ないということは、カネの匂いがしないということ。そこに政府だけが前のめりに投資することの意味を経産省は認識しているのか?民間資金はダブついているが、国の台所は火の車。病人からもっとカネを取れという血も涙もない施策案が炎上しているのに、桁が違う巨大なカネが無傷でドブに捨てられようとしている。こちらも炎上すべきではないか。

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